にがりを使って豆腐を作ってみた

空前のプロテインブームにともない、プロテイン=たんぱく質を多く含む大豆にも注目が集まっています。

大豆を食べやすくした代表的な食べ物といえば、何と言っても豆腐。消化吸収が良いので、大豆のタンパク質を効率よく摂るのにも適した食材です。
豆乳とにがりさえあれば簡単に作れますが、せっかくなので大豆から作ってみました。

にがりは海水から塩を作る時にできる液体のことです。塩化マグネシウムが主な成分で、主に豆腐の凝固剤に使われています。

今回手に入れた2つのにがり。当店ではおなじみの伊達の旨塩から抽出した「伊達のにがり」と、透明度が高い石垣島の海から作られた「石垣島の本にがり」です。

 

今回の作り方は以下のようになります。
1.大豆を戻す
2.大豆をミキサーにかける
3.呉を煮る
4.呉を絞る
5.豆乳を固める
6.水を抜く

なぜ生の大豆をすり潰そうと思ったのか。なぜにがりを加えようと思ったのか。人類の飽くなき探求心に改めて感動します。

1.大豆を戻す

まずは大豆を洗って水を切り、大豆の3〜4倍量の水に漬けて戻します。
漬ける時間は一晩、または8時間以上と良く言いますが、新豆と古い豆ではかかる時間が結構違います。パンパンに膨らむまで待ちましょう。

大豆は戻すと想像以上に膨らむので、容器は大きめにした方が安心ですよ。

今回はせっかくなので、当店の人気商品である秘伝豆を使います。香りや色はどこまで残るでしょうか。

 

秘伝豆は普通の大豆よりも大きいので、完全に戻るとこれくらいになります。200gにしておいて正解でした。

 

2.大豆をミキサーにかける

次は大豆をミキサーにかけます。大豆をザルに上げて水を切り、ミキサーに入れて水を加えます。今回は大豆が200gだったので、水の量は2カップにします。

ミキサーの機種によってサイズや性能が違うので、一度に出来そうにない場合は数回に分けて攪拌して下さい。

 

蓋を閉めてスイッチオン。ところが早くもトラブルが。数秒動いただけで止まってしまい、うんともすんとも言わなくなりました。
どうも大豆が硬くて負荷がかかるのか、ミキサーが壊れないように安全装置が働いてしまったようです。

幸いリセットしたら復活したので、押している時だけ動くフラッシュというボタンを使って、1秒ずつ攪拌することにしました。

最近の製品であれば一気にできるのかもしれませんが、なにぶん15年くらい前に買ったもので‥。

 

フラッシュを1秒押して離し、2秒待ってからまたフラッシュを押す‥
遠い目をしながら100回くらい繰り返したでしょうか。大豆が細かく砕かれていき、やがて変化が見られなくなったので蓋を開けてみると、そこにはスムージーのようなトロっとした液体が。

このように大豆をすり潰したものを「呉(ご)」と言います。郷土料理にある呉汁は、呉を味噌汁に入れて煮たものです。

思わず舐めてみたくなりますが、鼻を近づけると青臭い匂い。飲んではいけないセンサーが発動します。

 

3.呉を煮る

呉を鍋に入れます。ミキサーの中ではトロトロに見えましたが、鍋に移すと予想以上にドロドロです。これもミキサーの性能のせいかもしれません。
再び水を2カップ加えてよくかき混ぜます。

 

鍋を中火にかけます。沸騰してきたら弱火にして、焦げ付かないようにヘラでかき混ぜながら加熱していきます。
青臭かった呉汁が、だんだんと豆腐の香りに変化していくのはなかなかの感動もの。10分ほど煮たら火を止めます。

この匂いを嗅ぐと、小さいころ近所の松原豆腐店にお使いに行った思い出が甦ります。油揚げが美味しかったなぁ‥

 

4.呉を絞る

大き目のボウルにさらしを被せ、呉を入れて絞ります。一気に入れると絞りにくいので、何回かに分けて作業します。

さらしを買いに行ったらなかなかのお値段だったので、「サラシ」という名前のナイロン生地を買いました。

 

冷めると絞りにくくなるらしいので熱いうちに行うのですが、当然熱くてやけどしそうになります。絶対にゴム手袋を用意した方がいいです。

力いっぱい絞りたいのに、熱々の汁が出てくるのですぐに手を放してしまうもどかしさ。手の皮だけ厚くなりたい‥

 

絞り出したものが豆乳で、残ったものがおからです。短時間で2種類の大豆製品が手作りできると考えると、割とコスパ、いやタイパが良いかもしれません。

豆乳を計ってみたら何やら不吉な数字が‥。通常は700mlくらいになるはずなので、ちょっと絞り足りなかったようです。

 

おからの方は秘伝豆の色がよく残っていました。普通のおからと違ってつぶつぶなのは、ミキサーの力不足のせいな気がします。

 

5.豆乳を固める

豆乳を鍋に入れて中火にかけます。70〜80℃になったら火を止めて、にがりを回し入れます。

我が家には温度計がないので、豆乳がフツフツしてきたあたりを80℃ということにしました。ちなみに湯葉が出来る温度が90℃らしいです。

にがりは豆乳200mlあたり小さじ0.5らしいので、今回は小さじ1.5にしました。入れすぎると文字通り苦くなります。

 

にがりを入れたらヘラで静かに2〜3回かき混ぜ、蓋をして15分ほどおきます。豆乳が凝固して、固まった部分と澄んだ液体に分かれていきます。

かき混ぜ過ぎるとうまく固まらないようですが、どういうメカニズムかは謎です。

 

6.水を抜く

底面に穴の開いた容器にペーパータオルを敷いて、ボウルに入れます。固まった部分を入れたら表面を平らにして、軽く押しながら水を抜いていきます。

このままでも寄せ豆腐として食べられます。容器は100円ショップのふるいを使いました。

 

ペーパータオルを乗せてから平らに押します。マドレーヌの型がふるいのサイズにピッタリでした。

 

カップに水を入れて重石の代わりにします。今回は100mlの水で15分くらい置いておきました。

 

試食

程よい硬さになったので、ペーパータオルをゆっくり取って皿に移します。
秘伝豆の色が淡く残る、素朴な仕上がりになりました。ペーパータオルの模様が、まるで木綿豆腐のようです。

豆腐=四角の印象が強いので、丸いとチーズとかムースとか別の食べ物に見えますね。

 

口に入れてみると、いつも食べている豆腐とは違う重厚な食感。秘伝豆の香りはあまり残っていませんが、大豆の味が前面に押し出された食べ応えは、まさに手作りならではの味わいです。

パっと買えてサッと食べられる代表格の豆腐ですが、手間ひまかけてじっくり作った豆腐をゆっくり愉しむ、そんな贅沢な時間を過ごしてみませんか。

何でもかんでも塩で食べる昨今の風潮ではありませんが、手作り豆腐に関しては塩で間違いないでしょう。

 

豆腐作り

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